FIA公式戦やデイリーレースCでは燃料消費倍率が高めのレースが設定されることがある。
倍率が概ね4~5倍を超えると通常の走り方では途中で燃料が尽きてしまう。しかし、レースの長さを考えるとピットインして給油するのはタイムロスが大きく、往々にして勝ち目がなくなってしまう。
そこで必要になるのが燃費走行である。
今回は、そんな燃費走行のコツを解説する。
1.ショートシフト
ショートシフトとは低めの回転数でシフトアップすること。最も簡単に使えて効果も大きい手法である。エンジン1回転当たりの燃料噴射量が同じであれば、回転数が低いほど単位時間当たりの燃料消費量が少なくなる。
その分出力も低下してしまうが、全負荷時の出力当たりの燃料消費量は一般に最大トルク発生回転数周辺が最も少なくなるため、トルクバンドをキープすることで効率よく走行することができる。
2.リフトアンドコースト
リフトとはアクセルペダルを放す=リフトさせること、コーストとは惰性で走行すること。基本的にアクセルをオフにすると燃料は全く噴射されなくなる(アイドリングなどは別)ため、ストレートエンドでアクセルをオフすればその間の分の燃料を節約できる。
そのままではエンジンブレーキが働いてしまうものの、高いギアであれば影響は小さく、無視できる程度である。
3.燃料マップ
燃料消費のあるレースでは燃料マップのダイヤルが出現し、燃料の濃さ(噴射量)を調節できるようになる。燃料の消費を少なくすると当然出力は低下する。
ショートシフトと似たような効果だが、長い直線でどうしても回転数が上がってしまうときや、そもそもショートシフトだけでは燃料がもたない場合に重宝する。
アクセルを緩めることによっても燃料噴射量は減らせるが、その場合はスロットルを絞ることによる負圧でポンプ損失が発生してしまう。ターボ車では負圧が発生しなかったとしても排気抵抗によるロスが存在する。
そうした影響を受けることなく燃料消費量を減らせるので、加速への影響を小さくできるというわけ。
4.ストレートの終わりほど節約する
コーナーを抜けて直線で加速するとき、序盤で燃料を絞ってしまうとその後の減速までの全区間に悪影響を及ぼす。またブレーキング直前でフル加速しても、すぐに減速するわけだから利益が少ない。
ストレートでは、序盤はしっかり加速し、ブレーキングポイントへ近づくにつれ燃料を節約していくのが燃費走行の基本である。
5.上り坂はフル加速、下り坂で節約
上り坂を走行する時間が長いと、それだけ重力による減速量が増大する。逆に下り坂を走行する時間を長くとれば、重力をより加速のために利用できるようになる。
従って、上り坂では多く燃料を使い、下り坂で節約するようにすれば同じ燃料消費量でもより速く走行できる。
6.相手にだけ使わせる
レースではライバルよりも多く燃料をキープしておくことで展開を有利に進められる。相手がリッチマップで仕掛けてきたときにこちらが燃料を絞ったまま防ぎきることができれば、こちらが優位に立てる。
また、すぐ前方で複数台の攻防が行われているときは、積極的にリフトアンドコーストを活用することで車間の詰まりすぎを防止しつつ燃料を大幅に節約できる。
そのようにして燃料を残しておき、その後相手が燃料を絞らなければならない状況でこちらが燃料をリッチに使うことができれば、容易にオーバーテイクが可能となる。
ただし、レース後半のために燃料を残そうとするあまりトラックポジションをみすみす下げるようなことは極力避けたい。
抜き返すために結局燃料を使わなければならないし、前方との差が広がりすぎるといくら残燃料が多くても追いつくことが困難になってしまうためだ。
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燃費走行はそれほど難しい操作が要求されるわけではなく、むしろ事前の戦略の構築やその場その場での一瞬の判断といった「考える力」が必要なテクニックといえる。
どんなレベルのプレイヤーでも実践できるので、是非上記のような手法を試してみて欲しい。
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