今日のレースゲームではステアリングコントローラーの使用率が非常に高く、必需品といってもよいほどになりつつあるが、設置スペースや金額の問題からなかなか手が出ないというプレイヤーも多い。当然初心者にとってもいきなり手を出せる代物ではない。
とはいえ当然ながらGTSでは標準コントローラーであるデュアルショック4(以下DS4)もサポートしており、ステアリングコントローラーでなくとも十分レースを楽しめるようになっている。
本稿では、そんなDS4のGTSでの取り扱いについて解説する。
DS3→DS4での変更点・注意事項
感圧アナログ入力の廃止
DS3までは存在していたボタンでの感圧アナログ入力が、DS4では廃止されて単なるデジタル入力となった。スティックの斜め方向の入力の変化
DS3までは、スティックを斜め45°方向に入力すると縦軸・横軸ともに最大入力となっていたが、DS4では斜め方向の入力量が減少した(縦・横同時に最大入力を入れることができなくなった)。そのため誤って斜め方向に入力してしまうと本来の入力量より減少してしまう可能性がある。操作タイプ
今作では、キーコンフィグメニューにおいてステアリング操作タイプとペダル操作タイプをそれぞれ選択することができる。・ステアリング操作タイプ
初心者にも馴染みやすいのは左スティックでの操作。ほとんどのレースゲームタイトルにおいて同様の操作方法になっているため慣れやすく、最も無難。方向キーでの操作は積極的におすすめする要素はないものの、それで上位に食い込む猛者も存在する。
今作ではモーションセンサーによるステアリング操作も用意されている。
モーションセンサーはスティックよりも遥かに繊細な操作が可能で、FFBこそないもののステアリングコントローラーに近い操作感覚を得ることができる。また左手親指がフリーになることでMFD等の操作がしやすくなるというメリットもある。
一方で中立位置や最大入力が感覚的にはわかりにくいため慣れを要する。またデッドゾーンや操作範囲の設定は変更できない。
しかし慣れることさえできれば、3種の操作タイプの中でも最も有利にレースを進められるようになると言って間違いない。
コントローラーを机や膝に置いてプレイすると、コントローラーを支える手の疲労を軽減でき、また中立の位置を固定できるので操作しやすくなる。
・ペダル操作タイプ
初心者へのおすすめはL2・R2(トリガー)での操作。こちらも他のレースゲームでの採用例が多く、アクセル・ブレーキの同時踏みが可能であったり、他のボタン操作の邪魔にならない利点がある。スティックでの操作は、コントロール性は良いもののアクセル・ブレーキの同時操作ができない。ボタンでの操作は、同時入力はできるもののデジタル入力なのでコントロール性は低く、おすすめできない。
ステアリングとペダルの操作タイプが決まったら、その他の機能の割り当てを決める。
操作タイプによってはすべてのコマンドを割り当てるにはボタンが不足してしまうので、不要な機能を除外する必要がある。
例えばMFDのページ切り替え(左右)はどちらかだけでも事足りるし、ヘッドライトのハイ・ロー切り替えも実質不要である。
入力補正
走行中のDS4からの入力はそのまま車両挙動に反映されるのではなく、種々の補正を受ける。 これによって小さなコントローラーでもクルマをスムーズに走らせられるようになっている。GTSでは以下のような入力補正が存在する。
・アナログ入力のデッドゾーン
いわゆる「遊び」のこと。特にスティックではスプリングの効かないガタの範囲でもセンサーは反応してしまうので、どんなゲームでも基本的にある程度のデッドゾーンを設けている。またモーションセンサーも中立付近には大きめにデッドゾーンをとっている。ゼロ点付近のほか、最大値付近にもデッドゾーンが設けられている。デッドゾーンは変更できないので、スプリングが劣化するなどしてガタが拡大してしまうと触れていなくても勝手に入力が入ってしまうことがある。
・フィルター
コントローラーからの入力をそのまま車両への入力として反映させてしまうと、非常に過敏な動きとなってしまう。特にデジタル入力では一瞬で0から100%へと変化するため、微妙なコントロールは一切不可能になる。そこで、急激な入力に対しては入力値をある一定以下の速度で増減させるようにフィルターをかけている。これにより意図しない入力値の変動を緩和することができるほか、デジタル入力であっても連打による入力値のコントロールが可能になる。
デメリットとしては、素早い操作に対しては反応が遅れ気味になってしまう。
特にステアリング操作に対してはその影響が出やすいため、ステアリング操作についてのみ、「パッド操舵スピード補正」という形でドライビングオプションから変更することができるようになっている(モーションセンサーにはこの設定は適用されず、ほぼダイレクトに反応する)。
ステアリング操作のフィルターはあくまでコントローラー入力値に対して加わるものなので、後述する舵角補正によって最大舵角が小さくなる高速域ほど転舵速度が低下することに注意しなければならない。
そのため、スピードレンジが高いクルマほど「パッド操舵スピード補正」も高くすることと、その分だけ低速コーナーではより丁寧にステアリング操作をすることが必要となる。
また、トマホークXのような超高速域ではどうしてもフィルターによるラグの影響が大きくなってしまう。そうした状況では、フィルターが介入しないように少しゆっくりと操作することによってステアリングの違和感を少なくすることができる。
・速度による舵角補正
低速域と高速域では当然必要なステアリングの舵角が異なる。そのため速度に応じて自動的に最大舵角が変化する補正が加わる。これにより、思い切り曲がりたい時にはステアリングを最大まで入力するだけでよく、進入や脱出での微調整も容易になる。
・カウンター時の舵角補正
前述の速度による舵角補正のみでは高速域でカウンターステアの舵角が不足してしまうので、強いオーバーステア時はスライドアングルに応じてカウンターの舵角を増す補正が加わる。・路面のバンク角度による舵角補正
路面のバンク角(カント)が大きければそれだけコーナリングスピードが上昇するため、同じ速度でもよりステアリングを切り込めるように補正される。逆にカウンターステア量は減少してしまう。
・ビジュアル上の舵角補正
方向キーもしくはスティックでステアリング操作している場合、車内のステアリングやフロントタイヤは実際の舵角とはリンクしておらず、更なるフィルターを通したものが表示される。これによりスティックや十字キーでの操作時特有のパタパタとした見た目が滑らかに補正されるが、特にステアリングを中立に戻す動きがかなりゆっくりとしたものになっており、表示上はステアリングが切れているのにクルマは真っすぐ進んでいる、という風に見えることもある。・入力感度の補正
ここでの入力感度とはリニアリティ、反応曲線のことである。通常はセンサーへの入力値に比例してステアリング舵角やペダル踏力が増減するが、GTSの場合、アクセル操作についてのみここに補正が加わる。
実車の電子スロットルにおいても、パワー感を演出するためにペダルを浅く踏んだだけでスロットルを大きく開けたり、逆に大パワー車を扱いやすくするため低開度域の感度を鈍くするよう設定されるが、GTSにおいても後者のように低開度の領域を広くする感度設定がなされている。
ただしその分高開度でのコントロールに違和感を感じることもある。
この設定は変更できず、またステアリングコントローラーにも同様に適用される。
***
一方で、少ないストロークで素早く反応することができ、補正によって入力を安定させられるのもDS4の利点ともいえる。
今作ではモーションセンサーの登場により、今までよりもステアリングコントローラーとの差は縮まった。
各種補正の特徴を理解し、うまくネガを打ち消すような走り方ができれば十分トップレベルでも通用することは、スポーツモード上位のパッドユーザーたちが証明している。
0 件のコメント:
コメントを投稿