TAにおいてはわずかなミスがコンマ数秒のロスにつながってしまうし、レースにおいてもスピンやクラッシュなどの大きなミスがあれば順位に大きな影響を及ぼす。
なので、そうしたミスを犯さないように走らなければならないわけだが、ではどのようにすればそれを実現できるのだろうか?
「ノーミス」は幻想?
そもそもの話として、「ミスの全くない走り」というのは存在するのだろうか。サーキットのラップタイムは際限なく縮まるものではなく、クルマとサーキットの組み合わせによってどこかに理論値が存在する。
その理論値のラップをノーミスとするならば、極論、それより遅いラップにはどこかにミスがあることになる。
当然ながら、現代の精密なレーシングゲームのように、わずかなタイミング(入力判定は秒間300回以上)や入力量(ステアリングの回転1°あたり60段階以上)の差がすべてタイムとして結果に反映される状況において、人間の手で理論値を叩き出すというのは実質不可能である。
よって、どんなに速いラップでも、あるいはどんなに速いコーナリングでも、(極端にいえば)ミスがあって然りということになる。
ミスは多寡ではなく大小で決まる
とはいえ、理論値より遅いからというだけでミスがあるなどと本当に言う人はいないし、アタックしていてセクタータイムが100分の1秒遅いからといってそのラップを捨てるというようなこともないだろう。
つまり、あまりに小さい差であれば、それはミスとは認識されないのである。
それに、小さいミスを何回も犯したとしても合計が小さければ問題ないが、大きいミスは一回やってしまえばそのラップはおろか1レース丸ごと潰してしまう可能性もある。
大事なのは、ミスを「少なくする」ことではなく、一つ一つのミスを「小さくする」こと、というわけである。
ミスを小さくするために必要なこと
ミスを小さくするためには、「ミスをしそうな予兆」を感じ取り、いかに早い段階で対処できるかがひとつのカギとなる。
例えばアクセルの踏みすぎによるパワーオーバーの場合、リアが滑り始めるわずかな挙動変化を感じとってすぐにアクセルを緩めれば、大きなロスにならずに済む。
これは反応速度の問題だけでなく、そうした細かい変化を感じられるような繊細な運転ができているかということも関わってくる。大雑把で不安定な操作では予兆を感じる間もなくスライドが始まってしまうだろう。
「予兆」だけでなく、「ここは飛び出しやすいから少し控えめに行こう」などのように、「経験」による対応も可能である。逆に経験が少なすぎる場合は「予兆」に対する反応も遅れがちになってしまう。
ミスをミスと認識できるか
上で、小さい差であればミスとは認識されない、と述べたが、そこには絶対的な基準はない。100分の1秒遅れは無視できても、コンマ1秒差では人によって判断が分かれるかもしれない。つまりは個々人によってミスに対する認識には差が生じる。
この「認識の差」こそがトータルでのミスの大小、ひいては「そのプレイヤーの速さ」そのものに直結すると言っても過言ではない。
この「認識の差」こそがトータルでのミスの大小、ひいては「そのプレイヤーの速さ」そのものに直結すると言っても過言ではない。
初中級者にとっての「うまくいった」コーナリングでも、トッププレイヤーにとっては「コース幅が余ってる」とか「加速のタイミングが遅すぎる」といったアラが見えてしまうかもしれない。
もちろん「うまくいった」と感じられたということは、それまでと比較して良くできたということなので喜ばしいことである。しかしそこで満足せず、改善の余地=より細かなミスを認識できるかどうかが、更なるタイムアップの可能性に繋がるのである。
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「ミス」と呼ぶからには、そこには必ず「正解」が存在するはずである。
最終的な「正解」は理論値の走りということになるが、しかしいきなりそれをイメージしろというのは難しい。
それでも自分の中にしっかりとした「正解」のイメージがあるのとないのとでは大きな差が出てくる。
初心者であれば、まずはコースオフやスピンをしないこと。それができたら次はしっかりアウトインアウトをキープしながら走ること・・・といったように、その時点でわかる範囲でできるだけ具体的に「正解」のイメージを持ち、それと実際の自分の走りを比べて、コーナーごとにできているかできていないか、できていなければ次の周ではどうするべきか・・・ということを考えながら走ると、大きなミスが減り、より早く上達できるだろう。
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